まつり ご意見も!

飾磨郡教育会編『飾磨郡風俗調査』(明治四十五年発行)


『飾磨郡風俗調査』に載せられた「灘まつり」についての

調査本文のつづきですが、これには刷新改良すべき点のも

っとも多い祭りとして、次のように述べられています。

「祭礼の神事は、国風(こくふう)として最も大切なもの

であるから、益(ますます)丁重に執行せねばならぬ事は

云う迄もない。・・中略・・

神の祭ではなくて、人の祭となって居るかの如き弊がある。


邌物(ねりもの)を楽しみ、之れを見るを目的として、宮

に参詣してをる。従って神前に参拝しない不敬の徒が頗る

多い。


殊に些細(ささいな)な意地張から、喧嘩を惹き起

し、或は両三日間の快楽を得んがために、来るべき一年間

の勤労を犠牲にすると云ふ様な悪習に至っては、絶対的に

これを矯正しなければならぬ。革新改良を具体的に説示す

るならば


当日は神事を壮厳に執行して、村民一般は勿論、小学校生

徒も、教員引率のもとに参拝し、翌日は、神社の境内又は

其他の適当なる場所で、学校生徒及び青年聯合(れんごう)

の大運動会を開催して、村内一般老弱(ろうじゃく)男女

の凡てが、之れを参観すると云ふやうな施設をなし、夜は

社殿又は民家などで、浪花節などを催して、青年会の取締

(とりしまり)のもとに、・・中略・・

勿論浪花節などの語物に就ては、材料を選択すべきは、当

然の事である。


明治中期以来米価などが持ち直し、マッチ工場、松原釘か

ら鎖工場等新設がされて経済的に明るくなってきた時期の

祭りの有り方をこのように当時の校長経験者らは刷新改良

を求めています。


「時代が違い、世の中の仕組みや考え方が異なると、こう

も評価が変わるものかと驚かされます。」と寺脇弘光先生

は記載されています。


富国強兵の時代を映した、「灘祭り」の刷新改良には驚き

です。


いろんなご意見がありながらも、

質素倹約だけではない、ご先祖の頑張りが今日の地域の

繁栄と『灘のけんか祭り』をつくってこられたことに感

謝感激です。


当時の実情調査はこうだったんだと思いながらも、

もし夜は『浪花節』になっていたら灘七村の現在はどう

なっていたのだろうか、引き継いで行く事の意味を問わ

れています。

 

 参考文献

 松原八幡神社秋季例大祭の歴史

 ー旧松原村を中心にした「灘のけんか祭り」のあゆみー

 発行日 平成七年十一月十五日

 執 筆 寺 脇 弘 光(郷土史家)先生

 発 行 灘の松原自治会

平成28年宵宮、舊松原村獅子屋台の宮出し・境内の大銀杏




Keisyou-an

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